株式会社ブランド総合研究所は、このたび国内有力企業のSDGsの取り組みを消費者視点で評価する「企業版SDGs調査2021」を実施しました。その結果、消費者からSDGsへの取り組みが最も高く評価された企業はトヨタ自動車で2年連続1位となりました。2位はユニクロ、3位はサントリーといずれも前年より大きく順位を上昇させた企業が続きました。
また、SDGsについて「よく知っている」と答えた消費者は企業の好感度や就職意欲が「知らない」と答えた人より高く、SDGsの普及を促すことで企業への評価が高まるという効果も明らかになっています。
SDGs評価はトヨタが2年連続1位
【 SDGs取り組み評価ランキング(上位20社)】
※点数が同じでも小数点2位以下の差で順位が異なる。
SDGsの取り組みが最も評価されている企業はトヨタ自動車で2年連続1位となった。同社はSDGsに「本格的に取り組んでいる」との回答が17.3%と多く、2位以下より5ポイント以上の差をつけている。逆に「知らない、わからない」との回答は2.2%と少ない。自動車関連企業では日産自動車は前年の113位から6位へと急上昇している。
2位はユニクロで前年の9位から急上昇。小売り・流通関連企業ではイオンが5位、セブン-イレブンが14位、無印良品が17位、ローソンが20位にランクインしており、いずれも前年より順位が上昇している。
3位はサントリーで、「本格的に取り組んでいる」の回答はユニクロを上回り、トヨタに次いで2番目に多かったが、「少し取り組んでいる」の回答の差で3位となった。また、食品業界では4位に日清食品、9位にハウス食品、11位に日本コカ・コーラ、13位に味の素、15位にカゴメと、上位にランクインする企業が多い。
なお、SDGs評価の点数は、「本格的に取り組んでいる」、「少し取り組んでいる」など5つの選択肢の結果を加重平均して算出した。
SDGsゴールは「エネルギー」が最も高い
ゴールごとの評価が最も高かった企業と210社平均(単位:%)
SDGsには17のゴールが設定されており、それぞれのピクトグラムなどを通じて企業は取り組みを消費者に伝えるようにしていることが多い。
そこで今回の調査では回答者に企業ごとに「各社が取り組んでいると思うもの」を選んでもらった。右はゴールごとに最も評価が高かった企業名と回答割合(%)、それと210社平均を一覧表にしたもの。
SDGsへの取り組みの中で最も消費者から評価が高かったのはENEOSの「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」で23.0%だった。「住み続けられる街づくりを」では積水ハウスの21.5%、「飢餓をゼロに」では日清食品の19.6%がそれぞれ最も高かった。
SDGs認知が高い人ほど、企業評価が高い
回答者がSDGsについて「詳細な内容を知っている」、「ある程度の内容は知っている」、「SDGsの言葉は知っている(内容は知らない)」、「知らない」と答えた人によって、210社をどのように評価しているかを比較した。
「詳細な内容を知っている」人は210社平均で29.2%が「とても好感が持てる」と回答したのに対し、「ある程度の内容を知っている」では10.3%にすぎない。一方で「知らない」と回答した人は6.4%だ。つまり、SDGsに関する認知度の高い人の方が企業に好感を持ちやすいことになる。
この傾向は就職意欲についてはさらに極端で、「詳細な内容を知っている」人は210社平均で21.6%が「ぜひ働きたい」と回答したのに対し、「ある程度の内容を知っている」では5.3%だった。
SDGsの認知度は急上昇
回答者のSDGsへの認知状況を聞いたところ、「詳細な内容を知っている」と答えた人は5.9%、「ある程度の内容は知っている」は30.5%だった。37.7%の人は「SDGsという言葉は知っている(内容は知らない)」と答えている。また、「知らない(聞いたことがない)」は25.9%だった。
2020年の調査結果と比べると「詳細な内容を知っている」および「ある程度の内容は知っている」がともに大幅に増えている。その半面、「知らない」は半分以下に減っている。このことから、この1年間でSDGsの認知度は急速に高まったことがわかる。
年代別に分析すると、20代で「詳細に知っている」および「名前も知らない」の回答した割合が、いずれも他世代より多いという極端な結果になっている。
職業別では学生の認知度が他より突出して高い一方で、パート・アルバイトの認知度は他よりも低くなっている。
調査概要
企業版SDGs調査2021では、各業界を代表する有力企業210社を対象に、SDGsへの取り組みやESGイメージのほか、好感度や購入経験、投資意欲、就職意欲などの企業評価について、一般消費者による評価を行い、それを数値化しました。結果は企業別に全項目の結果を分析したほか、業界グループごとの集計、回答者属性(年代、性別、家族構成、職業、世帯収入、住居など)での分析等も行っています。
回答者は20代から60代以上までの年代別(5区分)で同数ずつ回収するとともに、世代ごとに男女均等となるように回収。合計2万1000人の回答を集めました。1人の回答者は10社に対して評価を行ったため、210社を21グループに分けて調査を実施しています。
調査対象: 210社(原則として消費者が評価しやすいブランド名を優先した)
回答者: 全国の調査モニターより条件抽出
年代(20代、30代、40代、50代、60代以上)と性別で均等に回収
回収数: 21,000人(各企業の有効回答数は1000人)
有効回答数: 18,403人 (不完全回答および信頼性の乏しい回答を削除)
調査時期: 2021年7月25 日~31日
調査対象一覧
申し込み
パンフレットのダウンロード
お問合せ
株式会社ブランド総合研究所
担当.菅波、摺木
Tel. 03-3539-3011(代) Fax.03-3539-3013
E-mail: sdgs[アットマーク]tiiki.jp
※送信時は[アットマーク]を@(半角)に変換しお送りください。
関連記事
SDGs調査記事一覧
◆企業版SDGs調査2021
・ 企業のSDGs取り組みを消費者が評価。企業版SDGs調査2021
・ 対象企業が確定!
◆企業版SDGs調査2020
・ 「企業版SDGs調査2020」調査概要と報告書の構成
・ 企業版SDGs調査2020 結果発表。1位はトヨタ
・ 食品関連企業のSDGs評価、最上位はアサヒビール
・ SDGs 日本の企業でいまはどのような活動が必要か?
・ 企業情報への接触率、SDGs認知者では平均の2倍に
・ 投資家による投資意欲度ランキング、1位はキユーピー
◆地域版SDGs調査2021
・ SDGsを評価している人ほど、幸福度が高い
・ 幸福度1位は沖縄県。宮崎県は2位に
・ 住民によるSDGs評価、鳥取県が2年連続1位
◆代表コラム
・ 地域活性化とSDGs・・・地域はいま何を取り組むべきか(2020年5月)
◆都道府県SDGs調査2020
・ 2020年調査概要
・ 2020年結果概要 SDGs取組評価1位は鳥取県
・ 幸福度ランキング2020「1位は2年連続で宮崎県。沖縄、大分、鳥取が急上昇」
・ 愛着度ランキング2020「1位は北海道(2年連続)。岩手県が急上昇して4位に」
・ 定住意欲度・持続度ランキング2020「1位は北海道。沖縄、石川、静岡が上昇し、東京は急落」
・ 調査結果の分析活用イメージ
◆市版SDGs調査2020
・ 調査概要
・ 結果概要 1位は川越市。愛着・定住意欲は福岡市、満足は豊橋市
・ 住民によるSDGs評価、鳥取県が2年連続1位